日々の訓練作業を通じて
暖かな日が多くなり、近所の公園の桜の木も花を咲かせてはじめました。
NEST利用者の皆さんも日々成長を遂げています。
今回はその成長の糧となる日々の訓練作業の1つとその取り組みについて紹介します。
最近雑貨店などでもよく見かける、紙バンドを使用した製品
お隣、富士市の地場産業である製紙関連の企業で生産されている紙バンド。
元々は、米袋の口を縛るために使われていた紙バンドですが、
富士市で生産されている製品は品質が高いという事で評判のようです。
丈夫でカラーバリエーションも豊富なため、現在ではクラフト、工芸品の材料としても使われています。
大小バスケットや蓋付きのボックス、帽子なども紙バンドで作られている商品があります。
現在、NESTで請け負っている製品は主に3種、
ボックス、バスケット、ティッシュボックスです。
それぞれ10~15種類ほどの異なったデザインの製品があり、
1つの製品は8~16種類のパーツで構成されています。
では、どういった作業を行っているかというと
・紙バンドを指定の長さで裁断
・意匠のために指定された箇所を面取り(45度で紙紐1本分)
・各パーツ必要数をピッキング、梱包
文字であらわすと簡単のようですが、実際に行ってみると難しい部分がいろいろと見えてきます。
まずは先方が裁断している方法で試しますが...
ハサミを使用し、直角を守り指定寸法に裁断することは非常に困難で
手間と技術の必要な作業ということがわかりました。
加えて、要求されている許容公差の、±0.5mmという条件が作業の難しさに拍車をかけ、
紙バンドを扱いなれていない我々が行うには
非常に難易度の高い作業という事が判明。
面取り処理も同様に難易度が高く、
ハサミやニッパーを使用してフリーハンドで作業を行う為
一定以上のスキルが必要となり、非常に手間の掛かる工程と確認できました。
さて、ここからが思案の始まりですが、まずはどのような器具が裁断に適しているのか、
効率及び、精度を保つことができる方法を検討。
アイディアが浮かんだらまずは図面を引き、更に頭の中で作業工程をイメージしてみます。
実際にアイディア通りに作業可能であるか...
作業イメージが定まってきたら、
作業に適した機材、道具、治具製作に適した材料などについて職員間で検討し、最終決定していきます。
発想が固まったら最終確認を行い、製作図面を引いて試作を製作していきます。
治具が完成したら、裁断機をセットしてトライアルを行い作業効率、品質を検証します。
結果、1本1本を手作業で裁断する事に比べ、飛躍的に作業効率及び品質面での向上が確認できました。
今回は1回の裁断作業で10本の紙バンドを正確に指定寸法に裁断することができるように設定しました。
裁断寸法、面取り箇所の指示票も作成し、シンプルで明確な作業指示をシステム化することで、
利用者さんが作業を自己完結できる仕組みを考え作り上げています。
このようにNESTでは実際の就労環境に近い環境を構築して利用者の皆様に提供しています。
普段からこういった実際の就労環境に近い環境で作業を経験していただくことにより、
就労後も違和感なく仕事に従事することができ、長期間の就労継続を可能にしていく基礎となると考えています。
最後に、
ごく当たり前なことではありますが、
顧客の信頼を得るために顧客の要求する製品品質、生産量、納期厳守を念頭に
一般的な企業活動と変わらない高い意識を持ち日々の業務に取り組んでいます。
常に高い意識で取り組むことにより、
顧客から評価を得、工賃単価の向上にも成功し、利用者の皆さんにも喜んでいただいております。
職業指導員 Urushibata
2016-03-28 17:50